KOBAYASHI
HIDETAKE
小林英健

特定非営利活動法人 日本痩身医学協会
会長

肥満解消と生活習慣病予防に挑む -変革のリアル、日本痩身医学協会会長が語る-

東洋医学の知恵を生かした
独自のダイエットプログラム

キアラ 本日はよろしくお願いします。まず日本痩身医学協会の活動について、簡単にご説明いただけますか?

小林 私たちの理念は「日本の生活習慣病を半減させる」というもの。 高血圧や糖尿病といった生活習慣病は、現代の西洋医学に頼るだけではなかなか改善しないのが現状です。 薬は症状を抑える対症療法であり、根本的な治療にはなりません。私たちは、その根本原因の解決を目指したいと考えています。

キアラ 小林さんはもともと柔道整復師・鍼灸師として長年にわたりご活躍され、一般の方からプロアスリートまで多くの方の治療に携わってこられたそうですね。

小林 数多くの施術を経験してきました。当時の患者さんの中には生活習慣病を抱える方も多くいらっしゃいました。 私の治療で腰や膝の痛みは治った方でも、生活習慣病はいくら病院に通っても治らない。 患者さんたちからそうした悩みを聞くうち、自分にも何かできることはないかと色々と勉強するようになったのです。

キアラ 私はフェンシング選手だったので、日本の整骨院などの治療には本当に驚きました。 薬で治らなかった痛みが、数回の施術で良くなったのです。 体の骨や筋肉のバランスを整えることがこんなに大事だとは、日本に来て初めて実感しました。

小林 日本の治療家は手先が器用で、丁寧な施術を行うのが特徴です。 私は東京オリンピックで日本のフェンシングチームのトレーナーを務めましたが、イタリアチームのドクターのぎっくり腰を鍼灸などの技術で治療したところ、その効果にとても驚かれました。

キアラ そんな小林さんが、生活習慣病に悩む人々のために立ち上げたのが日本痩身医学協会だったのですね。 多くの人が悩む生活習慣病ですが、その原因は何だとお考えですか?

小林 これだけ医学は進歩しているのに、生活習慣病などの病気は増えているわけですからね。 その原因を考えると、人々の食生活が大きく変わったことや、農薬や化学肥料の影響で野菜の栄養価が低下していることなどが大きいのではないかと思います。

キアラ 私の母国であるイタリアやアメリカでも生活習慣病に悩む人は多く、世界的にも大きな問題になっています。 日本痩身医学協会では、具体的にどういったアプローチをしていらっしゃるのですか?

小林 当協会では、3ヶ月間のダイエットプログラムを提供しています。 なかでも耳ツボがポイントで、耳のツボを正しく刺激することで食欲を抑えることができます。 耳ツボ自体は東洋医学に古くから伝わる治療法ですが、このメソッドはアメリカで薬物中毒の禁断症状を抑えるために使われていた方法を応用したもの。 そこに、栄養学に基づいた食事指導と、現代人に不足しがちな栄養素を補うためのサプリメントを組み合わせることで、肥満の改善や生活習慣病の予防などに繋げていきます。

世代を超えて実現する
東洋と西洋の医療連携

キアラ 西洋医学と東洋医学にはそれぞれに得意な分野があり、最近は欧米でも東洋医学の知恵が見直されてきているように感じます。

小林 そうですね。もちろん、私たちも西洋医学を否定するわけではありません。感染症の治療や手術など、西洋医学が必要な場面はたくさんあります。 いっぽうで鍼灸などの東洋医学は、人が本来もっている自己治癒能力を高めるという、根本的な体質から変えていくアプローチを大切にします。どちらにも強みがありますから、東洋医学と西洋医学の医療連携ができれば、もっとも理想的だと考えています。

キアラ 小林さんの活動を間近に見て育った息子さんがお医者さんになられて、今後は親子で東洋医学と西洋医学の連携を進めていくという計画もあるそうですね。

小林 息子は現在、大阪市内の病院の救急集中治療科で経験を積んでおり、来年には内科と外科の双方の疾患に対応できるクリニックを開院する予定です。 彼は「できるだけ薬を使わない」という考え方で、栄養学や食事指導を重視した治療を目指しています。 彼も私たちのプログラムについてはよく理解してくれていますし、今後はプログラムの実施前後でクリニックでの血液検査を行い、生活習慣病に関係する数値がどのように改善したかといったデータを取るなど、目に見えるエビデンスを積み上げていくことを考えています。

栄養のとれた食事の大切さを伝え
人々の心身の健康に貢献したい

キアラ 協会の設立から今年で32年。ずっと同じ方法を続けられているのは、結果が出ているからこそなのでしょうね。

小林 ありがとうございます。近年もさまざまなダイエット方法が出てきていますが、中には一時的に効果は出てもすぐにリバウンドしてしまったり、筋力の低下や体調不良を招いてしまったりするものもあります。 耳ツボやサプリメントによる正しい栄養素の摂取などにより、「ダイエットするだけでなく健康になることを目指す」というのが私たちの考え方。今後もプログラムを通して、そうした考え方を多くの人に広めていきたいと思っています。

キアラ 健康問題はグローバルな課題です。特に日本では高齢化が進み、医療費の増大も深刻な問題になっています。

小林 その通りです。さらに最近は、若い世代の体調不良や不登校などの問題も増えていますが、これも食生活が関係していると考えています。 今後は私たちのプログラムを通じて、身体だけでなくメンタル面の健康も改善できる可能性があることも伝えていきたいと思っています。

キアラ 実際にプログラムを受けられた卒業生の方が全国でサロンを開設するなど、日本痩身医学協会の活動の輪もどんどん広がっているそうですね。

小林 協会の会員でもある卒業生が開いたサロンは、全国で約2000店にもなっています。「縁のある人を健康で幸せにしたい」というのが、私自身の大きな目標です。 病気になると、本人だけでなく家族の人生も大きく変わってしまいます。まずは身近な人に、そしてその人からまた別の人へと、食事や栄養の大切さを伝えていきたいという思いが根本にあります。 その輪がさらに広がっていくことで、世代を超えて多くの人が健やかに暮らせる社会を実現できればと考えています。

キアラ 健康的にダイエットができて、誰もがハッピーになれれば最高ですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。